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薬ができるまで

【薬ができるまでの流れ】
 病気になるとなくてはならない薬ですが、どのようにして作られているのでしょうか?

 大まかな流れとしては治したい症状に有効な成分(化合物)を見つけ出すことから始まり(創薬)、 その化合物の効果や毒性を調べるために細菌や細胞などを用いた試験(in vitro)が行われます。 効果が確認されれば、次の段階として動物を使ってその化合物の効果や毒性を調べます(in vivo)。

 ここから先はいよいよ人に投与して効果や安全性を調べていくことになります。 人に投与して効果や安全性を調べる試験を臨床試験(新薬開発の場合の臨床試験は特に「治験」)といいます。 人に投与するので人体実験にならないよう倫理的かつ科学的な試験の実施が求められます。例えば不正な試験結果を 導き出さないようにすることや社会的弱者を強制的に参加させないようにすることなどに対する規定です。

 治験の場合、臨床試験が、「倫理的」な配慮のもとに、「科学的」に実施されることを目的として定められた 法律である「医薬品の臨床試験の実施の基準」(Good Clinical Practice-GCP)を遵守して実施されなければなりません。

 この他にも、ナチスの人体実験の反省から生まれた「ニュルンベルグ綱領」を受けて、医学研究者が自らを 規制する為に提案し、採択された倫理規範である「「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」(ヘルシンキ宣言) といったものもあります。

【臨床試験の手順】
 このように厳正な規制の下で実施される治験ですが、薬の有効性や安全性を証明するには一般的に次のような手順で試験が行われます。 (1) 第I相試験(フェーズ1)
 少数の健康な人(通常は男性)を対象に薬の安全性と薬物動態を検討します。抗癌剤など明らかに有害な薬では例外的に患者を対象とすることがあります。 安全性を検討する方法としては薬を少量から段階的に増量し、薬の生体内での薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)や安全性 (有害事象、副作用)について調べます。

(2) 第II相試験(フェーズ2)
 第I相の結果をうけて、比較的軽度な少数例の患者を対象にして、主にどのくらいの用量や用法で効果があり、 また、副作用や有害事象が発生するのかということを調べます。

 具体的な方法としては有効性・安全性を確認しながら徐々に投与量を増量させたり、プラセボ (実薬と見た目や味が同じですが、薬の成分が入っていないもの)群を含む3群以上の用量群を設定して用量反応性を検討したりします。 場合によっては探索的な前期第II相と検証的な後期第II相に分けて実施することもあります。

(3) 第III相試験(フェーズ3)
 第II相で調べた用量・用法に基づいて新薬が従来の薬より効果があるかどうか、及び、安全かどうかを実際に対象 となるであろう患者を対象にして調べる試験です。この試験の結果、従来の薬より効果がないという結果になった場合、 その新薬は販売することはできなくなります。

 ここではそれまでに検討された有効性を証明するのが主な目的になるので、被験者のランダム化や盲検化 (どの被験者に従来薬か新薬が投与されるか分からないようにすること)などの試験デザインが採用されます。 有効性の証明は事前に定めた有効性及び安全性を評価するために選択された反応変数(疾患の発症率や血圧・血糖値など の代替マーカーの値など)が従来薬よりも新薬の方がよりいい値を示していることを統計的に示す(有意差を出す)ことで行われます。 したがって反応変数の2群間の有意差を出すために数百人以上の被験者を集めて実施することもあります。

(4) 製造販売承認申請
 第III相試験で従来の薬よりも新薬の方が効果またはメリット(副作用が少なくなったとか、用量が少なくて済むなど) があるいう結果が証明されれば、第I相から第III相までの試験成績をまとめ、医薬品の製造販売承認申請が行われます。 規制当局(医薬品医療機器総合機構)による審査を受けて承認されると医薬品としての販売が可能になります。

(5) 第IV相試験(フェーズ4)
 製造販売後臨床試験とも呼ばれ、実際に市販した後に広く使用されることで第III相まででは分からなかった予期しない 有害事象や副作用を検出するために実施されます。

【ジェネリック薬品とは】
 以上のようなプロセスを経て新薬は市場に出ることになるのですが、創薬の段階から市場に出るまでにはものによっては 10年以上要することもあり、費用も膨大な金額になります。そのため、途中で試験結果が悪いために開発中止になったりすると、 製薬会社にとってはそれまでに費やした費用や労力が全て無駄になってしまいます。

 逆に販売した薬が広く受け入れられればものすごい利益を享受することができます。このため、最近では競争力のある 新薬開発のための巨額の研究開発費をまかなったり、開発に伴うリスクを軽減させる目的で大手製薬会社同士の合併が頻繁に行われています。

 また、新薬には特許で保護されている期間がありますが、その期間が過ぎると、その製法が公開されて他の製薬会社でも同じ効果をもつ薬を開発できるようになります。この場合、それまでの新薬と同じ効果があるということを検証する治験を行えばいいだけで、開発にかかる費用は大幅に軽減されるので、薬価も安く設定することができます。これがいわゆるジェネリック薬品(後発医薬品)でゾロ品とも呼ばれることがあります。 このジェネリック薬品だけを扱っている会社はゾロメーカーと呼ばれたりもします。