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磁石はなぜくっつく?

【磁力の元は電子の自転】
 磁石はなぜ鉄を引き付けるのでしょうか? そもそも磁石が引き付ける力には電気と密接な関係があります。小学生のときにした実験で電磁石というものがありました。

 何重にも巻いた鉄線に電流を流すと、磁界が発生します。右回りに電流をかけるとS極からN極に向かって巻いた鉄線 に対して垂直に磁界が発生します。これは中学で学んだ右ねじの法則です。電磁石は鉄棒などの磁性材料の周りに鉄線 を巻いて電流を流すと、鉄棒に一時的に磁力が発生して磁石のようになります。

 このように磁気と電気はお互いに密接な関係をもっています。そこで磁力の元になるものも電気と同じように +と-をそれぞれ単独の電荷として取り出せるように、N極とS極をそれぞれ取り出せるのではないかと考えることができます。

 しかし、棒磁石を細かく原始レベルまで切り刻んでだとしても、切った断面に新しい磁極が生まれて、 N極とS極は分離できません。それでは磁力の源は何なのかということになりますが、これは電子の自転が関係していると考えられます。

 電子は原子核の周りを決まった軌道上に沿ってまわっていますが、電子自身も回転しているのです。 これを電子のスピンといいます。-の電荷を持った電子がスピンすることで巻いた鉄線に流れる電流のように 電流が流れている状態になり、磁界が発生することになるのです。

【磁石にくっつく金属は3種類】
 したがって、電子自体が磁性を持っているということになります。 しかし、磁石は何でもくっつけるわけではなく、鉄やニッケル、コバルトの3種類の金属しかくっつけません。 これら以外の金属も原子核があり、電子もあります。この理由は電子のスピンにあります。

 スピンには右回転と左回転があります。右回転と左回転の電子はそれぞれ対になってお互いの磁性を打ち消しあっていて、 これは電子数が奇数の原子でも、複数の原子が集まって分子になることで磁性は打ち消されます。

 しかし、鉄などの原子の場合、同じ回転を持つ電子が対になったり、ペアを持たない電子があることで、 磁性が打ち消されることなく、原子自体が磁性を持つことになるのです。

 磁性を持つということはNとSの極を持つということで、鉄などの分子はそれ自体が磁性を持つので、 極を持ちますが、その電子のスピンの方向(S極からN極へ向かう方向)はばらばらです。 これは鉄の中に小さなたくさんの磁石(磁区)があって、それぞれがばらばら方向を向いていると 考えると分かりやすくなります(ただ、磁区内では同じ方向を向いています)。

 鉄に磁石を近けると、スピンの方向が揃い、鉄の中の磁区が同じ方向を向いて鉄自体が磁性を持つことになるのです。 これは磁石につけるまで普通だった釘が、一度磁石につけると他の釘を引きつけるようになることの理由です。

 つまり、鉄は磁性をもつので、磁石となる資格はありますが、それだけでは磁石にはなりません。磁場をかけて やることで初めて磁石になるのです。

 永久磁石はこうした磁性を持つ鉄などの材料を熱することで、磁区の向きが自由になります。 このときに、鉄を南北に置いてやると、磁区のN極がいっせいに北を向いて整列します。 鉄が冷えて固まると、磁区の向きは固定されて永久磁石になるのです。