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電子のエネルギー

【電子は軌道上を回っている】
 電子と電流の項で説明した原子の構造はカリウム(K)を例にしてみると、 原子核の周囲を電気的な引力(クーロン力)に引っ張られながら一定の軌道上を電子が回っている構造になっています (図1)。

 その軌道は原子核に近い順に、K殻、L殻、M殻、N殻…と呼ばれていて、それぞれの殻に入ることの電子はK殻が2個まで、 L殻が8個まで、M殻が18個まで、N殻が32個までといった具合に、決まっています。

 カリウムの場合、電子を19個持っているので、M殻までは全て電子で満たされていてN殻に1個電子がある状態になっています。

(図1)


【電子のエネルギーはとびとびの状態】
 この状態は電子のもつエネルギーから説明できます。電子のもつエネルギーは量子力学的な性質によって, 電子の存在できる軌道(殻)毎にあるとびとびの状態しかとれません。 その状態をエネルギー準位(energy level)といいます。

 電子は内側の軌道に存在しているときは電子の運動のエネルギーと原子核の引力がつり合っていて安定した 状態にあるため、K殻の電子のエネルギー状態は最も低くなります。いいかえると電子がK殻に留まるために必要な エネルギーは少ないということになります。この状態を基底状態といい、電子が原子核の中に引き込まれることも 飛び出すこともありません。したがって電子はエネルギーの低いK殻から順に詰まっていきます。

 この安定した状態の原子に,電子がより外側の空いている軌道に移るのにちょうど必要なエネルギーを 持つ光や熱が加わると電子はエネルギーの低い状態から高い状態(励起状態)に移ります(図2)。 これを吸収といいます。

(図2)


一方、励起状態にある電子はエネルギーの均衡がくずれて不安定な状態となり、すぐに安定した基底状態に戻ろうとします。 このとき、内側の軌道に電子が入れる空席があったとすると、電子はより安定な状態になるためにその空席に入っていきます。

 このとき電子はエネルギーの高い状態から低い状態に移ることになり、余分なエネルギーを光として放出します(図3)。 この放出された余分なエネルギーは量子(この場合は光子)と呼ばれる決まった量のエネルギーのかたまりで、 その量は電子が励起状態にいた軌道のエネルギー準位と元の軌道のエネルギー準位の差となります。 つまり、電子のもつエネルギーはこの量子ごとにとびとびの値をもつということです。

(図3)


 このように電子は原子の軌道毎にとびとびの決まったエネルギーを持つので、発光された光、 あるいは吸収された光のエネルギーを知ることによって、発光あるいは吸収した元素の種類と電子の状態 を知ることができます。また、この性質はレーザーや発光ダイオードに応用されています。