楊令伝

北方謙三 著
集英社(全15巻)


 梁山泊と南宋との最終局面。後半に入ってから、北方さんお得意のいきいきとした戦のシーンが少なくなっていたように感じていましたが、前章と本章ではその読者の鬱憤を晴らすかのような書きっぷりです。おみごと(笑)
 梁山泊は軍事力ではなく「物流」で国のかたちをかえようとしていました。それは魔物と感じられるものでした。
 全面対決とはいえ、すでに南宋の軍は梁山泊に大きなダメージを受けており、南宋を支えるのは岳飛率いる岳家軍のみとなっています。何度かの衝突で、お互いに被害を出しながらもまだ闘志は衰えません。岳飛があわや討ち取られそうになったとき、なんと南宋と敵対している金の総帥兀朮[ウジュ]率いる軍が割り込んできて難を逃れます。奇妙な三角関係の中で、「抗金」を旨とする岳飛は決して金とは共同戦線を取ろうとはしません。
 この金の動きには、裏がありました。梁山泊の進める自由市場に対して、金はノーという結論を出して梁山泊と全面的に戦うことを決めていたのです。交渉のために金の都へ赴いた楊令の補佐といえる宣賛を殺し、それを助けようとした武松も罠に嵌めて殺しました。それと、金の太宗呉乞買[ウキマイ]は「必ず楊令を殺せ」という遺言(詔)を兀朮に授けていたのです。
 梁山泊はこの金軍を追い払い、その後岳飛との最終決戦を行います。すでに満身創痍の岳飛軍に比べ、梁山泊軍は十分な余力を残していました。そして、最後の戦を前にして各々の軍の前に出た岳飛と楊令とは一対一で対決します。
 (ここから先は書けません)
(2011/2/11 第15章読了)

 梁山泊は交易で国力を高め、周りの国々へ新しい戦いを挑むようになりました。それは、ゲリラ的に「自由市場」を開くというものです。この自由市場には梁山泊から豊富な物資が流れ込み、その値段も安いものでした。これにより、かつて既得権益を得ていた商人たちは壊滅的ダメージを受けることになり、それがひいては国の成り立ちをも破壊するものとなります。
 天下は北の金、そして中原には金の傀儡政権である斉と梁山泊、江南には南宋という4つの国が均衡を保っていますが、金も南宋も梁山泊の自由市場を敵視するということで利害が一致しています。その状況の中で、斉の禁軍総帥であった張俊が12万もの軍(張家軍)を引き連れて南宋へ寝返ってしまいます。
 南宋は中原への復帰を狙い何度か北上を行いますが、そのたびに追い返されていますが、自由市場という国の根幹にかかわる戦いを突きつけられ、梁山泊を潰したいところですが、間に斉および金があるため大規模な動きを取ることができませんでした。しかし、金の皇帝が崩御しその軍が北へ戻るというタイミングを捉え、ついに全軍を挙げて梁山泊との全面戦争を起こします。南宋は3軍25万の大軍で攻め込みますが、12万の梁山泊軍は厳しい中勝利を収めました。
 そろそろこの物語も最後を迎えるようで、「水滸伝」以来の豪傑たちが退場していくのは寂しいものです。本書では戴宗が最後を迎えますが、この戴宗もオリジナルの水滸伝のキャラクターと本作品でのキャラクターが全然異なっているため最後まで馴染めなかった一人です。斉の宰相となっていた扈成を暗殺し、宋の「裏の軍」である青蓮寺の軍を率いる羌肆と刺し違えるという形で倒しそれを壊滅させて死んでいきました。
 英雄たちの死に方にこだわる北方さんですが、武松や史進には最終回ではどのような死を迎えさせるのでしょうか。
(2011/2/4 第14章読了)

 梁山泊は交易であがる莫大な富を背後に税率1割という、「民のための」新しい国のかたちを作りました。国は富み、強力な軍事力で平和を謳歌しています。
 南宋はやっと安定してきましたが、旧来の国と同じような姿をしています。秦檜を宰相とし、李富を「裏の宰相」として着々と国力を高めています。金は領土を広げすぎ、北からの蒙古の侵略に苦しむようになってきました。もともと金の傀儡政権として建てられていた斉には、元青蓮寺だった扈成が宰相として入り込み金との距離を置きはじめます。
 元々宋の将軍、張俊と岳飛は宋崩壊後、後独立した地方の軍閥となっていましたが、次第に「国」の中に吸収されていきます。北京大名府に拠っていた張俊は斉の扈成と連携し、斉の禁軍となります。岳飛は巨力な軍を作り上げていましたが、民の負担をあまりにも大きくしたため、戦中に反乱を起こされてしまい隆徳府を離れて南宋の将軍となります。

 ここにきて、金・南宋・斉・梁山泊という4強の国に収斂してきました。多分、次巻くらいからはモンゴルが北から登場してくることになるのでしょうが、この話の行き着く先が見えなくなってきました。
 『水滸伝』で梁山泊が滅んだのち、宋江の書いた「替天行道」をもとに新しい国を建てましたが、このあとどんな展開になっていくのでしょう。結局強大になったモンゴルにすべて滅ぼされてしまうという感じでしょうかね。
 なかなか楽しみなところです。
(2010/7/3 第13章読了)

 一旦宋は滅びましたが、陰の組織青蓮寺を率いる李富は趙構を帝として南宋を建てました。宋の息の根を止めたい金軍の追跡を逃れて江南の地を転々としていましたが、江南の地は広く逃げ延びて国の形を作ります。
 梁山泊は東西を結んだ交易の道を確立し、豊富な資金を手に入れて着実に理想の国の建設に邁進します。
 金は漢民族の地を治めることはできず、中原に傀儡の国を建てます。内政の混乱も一応の落ち着きがでてきました。一方、梁山泊が交易の道としている西には西夏がありましたが、こちらも内政ゴタゴタが収まり、落ち着きがでてきます。西夏の西に去った遼の耶律大石は部族をまとめて帝に推戴されて新しい国づくりをはじめました。

 梁山泊でもなじみの英雄が退場していきます。
 鮑旭が退役寸前の最後の勤めとして展開していた春風山・秋風山を張俊に急襲され、応援を求めて梁山泊に走った王定六は途中で敵に襲われて知らせることはできたものの、矢を受けて息を絶えます。鮑旭は2千の兵で三万の敵を食い止めますが、最後は喪門神という自分のあだ名を思いながら壮絶な最後を遂げます。
 燕青は敵の罠にはまり青蓮寺に襲われてしまいます。寸での所を致死軍に救われますが、烈しい闘いの中で失明してしまいました。それと、朴訥として味のあるおじいさんという感じだった杜興も死んでしました。世代交代なのでしょうか・・・
(2010/4/3 第12章読了)

 楊令に童貫を討ち取られた宋禁軍はあっけなく崩壊してしまいます。
 北からは金軍が怒濤の如く南下し、宋の都開封府は陥落してしまいます。金軍は徹底的に略奪を行い、皇帝はじめ数千人の皇族を自国に連れ去ってしまいます。(このあたり、歴史書に書かれていることと合致しています)
 宋軍は隆徳府を押さえ軍閥となった岳飛、北京大名府を押さえ軍閥となった張俊、江南で「南宋」を建てた趙構を守り従っている劉光世の3つとなりました。青蓮寺の李富は各地に手のものを配して内政を固め、なにやら妖しい動きをしています。
 梁山泊には平和が訪れ、無理に領土を広げようともせず、内政を固めようとします。税率を1割という破格の低さにし、楊令の考える理想の国をめざします。不足する財政には、日本から西域を結ぶ長大な交易路を開拓してそこで利益を上げようという戦略です。
 一方、金は宋を滅ぼして勢いづき、次第に南下しようとしますが、権力をめぐる内紛が始まります。また、広大な旧宋の領地を治めるほどの地力もありません。

 楊令は日本とシルクロードを結び商売で国を保つという、かつてのベネツィア共和国のような壮大な夢を追いかけてゆきますが、多分もうすぐモンゴルの台頭が起こってくるのでしょう。これからどんな展開になっていくのか、収拾がつくのか老婆心ながら少々心配です。(笑)
(2010/1/5 第10章・第11章読了)

 童貫率いる宋禁軍と梁山泊軍との戦いは一進一退が続きます。しかし、ついに長い間梁山泊の前に立ちはだかっていた宋禁軍、その中心にある「童」という旗に梁山泊軍が肉薄します。黒騎兵と率いる楊令と、青騎兵を率いる花飛麟、赤騎兵を率いる史進が真っ直ぐに童貫を守る禁軍の中の最精鋭二千騎に迫り、その中から一人突出した楊令がついに童貫を討ち取るのです。
 宋禁軍は撤退し、梁山泊は領土を4倍に広げて国としてのかたちが見えてきます。童貫に見いだされ、天才と言われた岳飛は隆徳府に落ち、そこで3万の兵を集めます。ここから『岳飛伝』の世界と『水滸伝』の世界がクロスオーバーしていくのでしょうかねぇ?(笑)
(2009/7/19 第9章読了)

 梁山泊軍と童貫率いる宋禁軍が激突。
 本書で戦死するのは、扈三娘・張清・馬麟。それぞれ見事な散り方でしたが、後に残された者にとってはやりきれません。張清が岳飛に討ち取られた後、史進は「俺だけかよ」と呟きます。自分一人が生き残っているという思いです。林冲も、穆弘も関勝も秦明も花栄もいなくなり、呼延灼もいなくなりました。
 北からは金の蕭珪材が燕雲十六州へ攻めて来ます。宋禁軍側では岳飛が奮闘し、童貫は相変わらず胸のすくような動きをして楊令の首を狙いますが、結末はまだまだ見えません。
(2009/4/4 第8章読了)

 童貫率いる宋軍もついに梁山泊をめざして進発します。それは禁軍のみの編成で、実に11万人。迎える梁山泊は、一つの州を押さえて半ば独立国の様相を見せ始めています。厳しい調練を受けて鍛えられた精兵とはいえ、数の上では宋禁軍には及びません。
 ついに激突が起こりました。北から寄せようとする宋禁軍の趙安、童貫軍に合流させまいと迎え撃つのは呼延灼はじめ花飛麟・史進らです。烈しい戦いの中、史進は宋の将軍陳翥[ちんごう]を討ち取ります。そして、呼延灼の子穆凌は宋禁軍で元帥童貫に次ぐナンバー2の将軍趙安を討ち取りますが、それはあぶない賭でした。趙安を討ち取った直後、宋軍の5千騎が襲いかかりました。それを見た呼延灼は1人で受けとめ、そして戦死。
 双方に大きな犠牲を払いましたが、緒戦は梁山泊側の勝利に終わりました。そして、これから童貫と楊令それぞれの率いる主力部隊の激突になるのでしょうか・・・。
(2008/12/21 第7章読了)

 北と南に起こった戦乱が終結し、疲弊していた童貫率いる宋禁軍も徐々に回復してきます。これまで南北の戦を横目に、力を貯めていた梁山泊にもいよいよ宋との決戦が近づいてきたという空気が高まってきます。
 梁山泊では若手の台頭が始まりました。頭領となった楊令は徐々に貫禄を付けてきましたし、これまで致死軍を心血注いで作り上げてきた公孫勝は侯健の息子、侯真にそれを譲りました。公孫勝は老いたとはいえ、まだまだ引退するとは思えません。この世代交代の裏には何かある、と睨んでいるのですが、それは今後のお楽しみでしょうか。
 子供二人が失踪した扈三娘は密かに梁山泊から姿を消します。青蓮寺が拉致したという紙片を受け取り、一人で北京大名府近くに待つ聞煥章のもとにきたので。子供らはすでに致死軍の手で救出されていましたが、聞煥章はそれを秘して扈三娘を迷路のような家の中に捕らえますが・・・
(2008/10/4 第6章読了)

 童貫率いる宋軍は方臘の叛乱を収めることに成功します。数十万人の信者の中に潜んでいた方臘の正規軍は宋軍に最終決戦を挑みますが、童貫は相手に自分の身をさらすという方臘と同じ手を遣われて打ち破られます。
 童貫は勝利を得ますが、負った傷も深いものでした。副官である畢勝(ひつしょう)を討たれ、最強の軍として鍛えられていた禁軍の兵士たちの中には数十万人の信徒たちを殺したことによって心が毀れてしまった者も少なくありませんでした。軍の立て直しが大きな課題になりました。
 北と南とで大揺れに揺れているうちに梁山泊は楊令の指揮の下、ひとつの国ともいえるようなものを築きあげていました。いよいよ、梁山泊は宋という国と再び対峙することになります。
 このような国が傾くというときにも、宋の朝廷では権力争いが渦巻いています。高俅は燕雲十六州を獲りに行った際のぶざまな敗戦により病に倒れ、王黼と蔡京の争いがはげしい中、ついにあの秦檜が宮廷に入り込みました。どのような「活躍」を見せてくれるのか、楽しみ。
(2008/7/7 第5章読了)

 童貫率いる禁軍を中心にして地方軍を合わせた20万人の宋軍は江南で方臘と対峙。方臘は数十万の信徒の中に10万人の正規軍を埋め込み、自ら先頭に立ちます。童貫は連環馬の計により数十万人の信徒を殺しますが、方臘の教えにより死ぬことを恐れない民はどんどん湧いてきてきりがありません。結局、どちらが勝ったともいえない結果で童貫は一旦引き上げます。
 呉用は名前を隠して江南に潜入しますが、方臘の軍師となり次第に方臘に惹かれていきます。童貫との戦を前に公孫勝が一度は救い出そうとしますが、自らの意志でそれを拒むのです。
 一方、趙安率る燕京攻略の軍は新しく燕という国を建て、遼の将軍であり遼最強だった軍を率いる耶律披機・蕭珪材と北方の大軍閥耶律大石の軍と激突しますが、一進一退の状況が続きます。この微妙なバランスは青蓮寺のテロにより遂に崩れます。青蓮寺の羌肆により新しく建国した燕の帝耶律淳が暗殺されてしまい、この国の行方は微妙になってきました。
(2008/4/5 第4章読了)

 江南で方臘が数十万の信徒を率い、新しい国を創ろうと蜂起。北では楊令率いる金軍が宋と「海上の盟」を結び遼を圧倒し、宋が攻めることになっている燕京を残して版図を広げます。ついに宋は童貫率いる最強の禁軍を二手に分けて送り出し、方臘の叛乱鎮圧と燕京奪取を同時に図ります。
 宋・遼・金・方臘軍・梁山泊軍が入り乱れる中、宋の秘密軍・青蓮寺の聞煥章は燕京に残存する遼の最強部隊と遼の軍閥・耶律大石と結び謀略を巡らします。宋・遼・金の関係というのは、概ね史実をベースとしているようですが、それ以外の要素、方臘・梁山泊・青蓮寺などこの複雑な関係がどこまで絡みついていくのか、どこで解れてくるのか楽しみなところです。
(2007/12/16 第3章読了)

 北方さんの大作『水滸伝』は全19巻は梁山泊軍の敗北、宋江の死で完結しました。しかし、北方さんは『水滸伝』の連載中からその続編『楊令伝』の構想を固めていたようです。
 『水滸伝』が司馬遼太郎賞を受賞したときのインタビュー記事によれば、とりあえず5000枚(10巻)を予定しているそうですが、『水滸伝』も当初13巻の予定が結局19巻にもなったそうなので、本人談「わかりません」とか・・・(笑)

 この宋の時代、北には遼や金という強力な国が勢力を伸ばしていました。この頃、腐敗した宋という国の中で遼に対して孤軍奮闘する岳飛という英雄が現れます。彼は中国の人たちに大変人気があるそうですが、北方さんはこの岳飛をこの物語の中に引きずり込んできました。
 16歳の若さで数十人を率い、村の用心棒をしている岳飛が賊を追って見事な戦いをしている所に宋の元帥童貫が出会います。その後、童貫は懲罰のために関の守備をさせられている劉光世を見いだし禁軍にスカウトしますが、そこで岳飛を呼び出させ話をします。
 他に、原『水滸伝』では江南で叛乱を起こし宋に帰順した梁山泊軍に打ち破られることになっている方臘も宗教を基にした国を興し、宋から独立するという設定で登場します。このあと『楊家将』の人々も登場してきたりして・・・(笑)
 これからどういう展開になるのか、楽しみです。

(2007/9/16記)

1 ― 玄旗<(げんき)>の章
天罡<(てんこう)>の夢 地闘の光 地刑の光 地損の光
天猛の夢 地進の光 地雄の光
北方水滸伝、待望の続編スタート!
梁山泊陥落から3年。生き残った同志たちは中国全土に散らばり潜伏していた。青蓮寺による梁山泊の残党狩りが苛酷を極める中、元梁山泊軍の再起は楊志の遺児、楊令の戦線復帰にかかっていた…。
2 ― 辺烽<(へんぽう)>の章
天魁<(てんかい)>の夢 地走の光 地妖の光
天罪の夢 地俊の光
女真の地で、苛烈な戦いぶりで名高い幻王の正体は楊令だった。武松は楊令に梁山泊への帰還を求めるが、楊令は肯んじない。一方、呉用は梁山泊再興の策を胸に、宗教を用いて人を集める方臘に近づくが…
3 ― 盤紆<(ばんう)>の章
天富<(てんふう)>の夢 地賊の光 地佐の光
地醜<(ちしゅう)>の光 地魁<(ちかい)>の光
ついに江南で方臘の宗教団体が蜂起。南と北に寨を築き、力を蓄える梁山泊。金軍を率いる楊令は梁山泊軍と合流。宋、遼、金入り乱れての戦いが始まる!
4 ― 雷霆<(らいてい)>の章
天勇<(てんゆう)>の夢 地健の光 天牢の夢
天祐<(てんゆう)>の夢 地軸<(ちじく)>の光
宋禁軍と梁山泊軍が激突、戦いの行方は・・・?北と南の動乱に、宋禁軍の趙安は北へ、童貫は南に出陣。梁山泊軍は趙安の部下である葉超軍と激突、死闘を繰り広げる。一方、勢いを増す南の宗教蜂起を制圧するため、童貫軍は機を窺う。
5 ― 猩紅<(しょうこう)>の章
天英<(てんえい)>の夢 地狂の光 地魔の夢
天空<(てんくう)>の夢 地威<(ちい)>の光
燕京を攻略中の趙安軍の背後をついて、梁山泊軍は河水地方の一部を制圧する。国と国との闘いを目指す楊令の見事な采配だった。一方、南の方臘のもとにいる呉用は、童貫軍に対抗するため策を練る。
6 ― 徂征<(そせい)>の章
地空の光 天哭<(てんこく)>の夢 地蔵の光
地孤<(ちこ)>の光 地英<(ちえい)>の光
南北の戦いが終結し、方臘は死亡。宋、梁山泊ともに力を蓄える時期が訪れた。そんな中、子供が消えたという報せに、扈三娘は洞宮山に駆けつけるが、聞煥章の奸計に嵌まり、捕らえられてしまう。
7 ― 驍騰<(ぎょうとう)>の章
地然<(ちぜん)>の光 地強<(ちきょう)>の光 地奇<(ちき)>の光
天究<(てんきゅう)>の夢 地猛<(ちもう)>の光
ともに力を蓄えてきた楊令梁山泊と童貫禁軍の宿命の大戦の幕が、ついに上がった! 持久戦が続く中、やがて童貫の部下・岳飛軍と、梁山泊の花飛麟軍が激突する。
8 ― 箭激<(せんげき)>の章
地速<(ちそく)>の光 天退<(てんたい)>の夢 地角<(ちかく)>の光
地霊<(ちれい)>の光 地楽<(ちがく)>の光
楊令率いる梁山泊軍と童貫率いる宋禁軍の戦いは、総力戦に突入していった。花飛麟の恋人となった扈三娘は、その直後に壮絶な戦死。岳飛は強弓の腕を初めて見せ、梁山泊兵の肝をひしいだ。父を失った呼延凌は亡父の双鞭を一本に鋳直し、七星鞭を名乗り、花飛麟と並んで次世代の騎兵軍団にになう将に成長する。しかし、無敵の童貫と岳飛をはじめとする将たちは、じわじわと梁山泊を締め付け、張清・馬麟が戦死。一方、金の軍勢が南下を開始し、青蓮寺も新しい陰謀に動く。
9 ― 遥光<(ようこう)>の章
天雄<(てんゆう)>の夢 地伏<(ちふく)>の光 地察<(ちさつ)>の光
地正<(ちせい)>の光 地遂<(ちすい)>の光
楊令率いる梁山泊と、童貫率いる宋禁軍は、局地戦を繰り返し、戦死者を重ねながら、消耗戦をつづけていた。しかし、ついに総力戦が始まった。楊令は童貫の首をみずからの吹毛剣で落として、長くつづいた戦闘に決着をつける。しかし、新しい国造り、南下してきている金国の騎馬隊、開封を守る宋の軍、暗躍する青蓮寺。楊令の戦いはまだまだ、終わる気配はない。
10 ― 坡陀<(はだ)>の章
地悪<(ちあく)>の光 地勇<(ちゆう)>の光 地鎮<(ちちん)>の光
天慧<(てんけい)>の光 地囚<(ちしゅう)>の光
金軍の怒涛の南下によって、宋国は朽木の如く崩壊した。楊令率いる梁山泊は独立を保って、独自の国造りに励んでいる。海を越えた東の島国から砂金を輸入して、それを天山山脈の北を通る路を通って西方に輸出する。それが新しい国の原資だった。南では青蓮寺が暗躍して南宋を建国、岳飛将軍はひとり歴戦し、さらに南下をめざす金軍と干戈を交える。金、梁山泊、南宋。つかのまの新しい三国鼎立時代も長くは続かなかった。楊令と梁山泊は、新しい戦いに向かわざるをえなかった。
11 ― 傾暉<(けいき)>の章
地好<(ちこう)>の光 地闊<(ちかつ)>の光 天暴<(てんぼう)>の夢
地微<(ちび)>の光 天異<(てんい)>の夢
楊令率いる「新梁山泊」は、東の日本の砂金と、遥か東のペルシャを結ぶ大貿易路を築くことで、経済立国をめざしていた。青蓮寺が華南に「宋国」を復活しようと模索している。北の金国は再びの南下をめざしている。地方軍閥として、岳飛をはじめ、張俊、韓世忠が跋扈している。梁山泊では、子午山を下りて合流してきた秦容が、底の知れない強さを見せて評判になっていた。そんな情勢下、突然、梁山泊と岳飛軍の間で戦陣がきられる。
12 ― 九天<(きゅうてん)>の章
天損<(てんそん)>の夢 地周<(ちしゅう)>の光 天貴<(てんき)>の夢
天満<(てんまん)>の夢 地暗<(ちあん)>の光
交易の道は発展し、梁山泊に富をもたらす。だが禁軍残党である岳飛との戦いや、金軍との局地戦が勃発する。南宋では青蓮寺の指導の下、着々と国家の整備が進んでいた…。
13 ― 青冥<(せいめい)>の章
天立<(てんりつ)>の夢 地数<(ちすう)>の光 地短<(ちたん)>の光
地煞<(ちさつ)>の光 天敗<(てんはい)>の夢
中原の覇権は誰に?
交易の富により民の安寧な暮らしを実現した梁山泊。しかし張俊と手を結び、急激に力をつけた斉が背後をうかがう。南宋の李富、禁軍残党の岳飛、誰が敵になるかわからぬ状況下、水面下の闘いは続く。
14 ― 星歳<(せいさい)>の章
地幽<(ちゆう)>の光 地捷<(ちしょう)>の光 天暗<(てんあん)>の夢
地僻<(ちへき)>の光 地隠<(ちいん)>の光
自由市場の発展で民を富ませるという梁山泊の国のありようは、他国の根幹を揺さぶる。一方、張俊、岳飛の軍が合流した南宋は、梁山泊との決戦へと向かっていた…。
15 ― 天穹<(てんきゅう)>の章
地異<(ちい)>の光 天殺<(てんさつ)>の夢 天孤<(てんこ)>の夢
天地<(てんち)>の夢 天地<(てんち)>の光
自由市場による貿易立国を目ざす楊令・梁山泊。南宋との対立を深め、金も敵に回す。新しい国造りに燃え、中原を駆ける漢たちの夢と志のゆくえは…。完結編。


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