興亡 三国志

三好徹 著
集英社文庫(全5巻)


 このところ、ずっと宮城谷さんの本ばっかり読んでいましたが、書店でこの本を見て久しぶりに三国志を読むことにしました。元々長いお話なのですが、この「興亡三国志」は全5巻構成と吉川英治さんの「三国志」全8巻より少なくなっています。でも、1冊の厚さが吉川さんの本の1.5倍くらいあるので、結局ボリューム的にはあまり変わらないかもしれません。読むときには、ちょっとの心構えが必要です。

 作者の三好さんも「少年の頃から『三国志』に胸をときめかせてきた。」と第一巻のあとがきに書かれています。そして、「自分なりの『三国志』を書きたいと考えていた」と。
 「三国志演義」をもとにした「三国志」では、どうしても劉備・関羽・張飛の義兄弟や諸葛孔明が正義になり、曹操という人物はどちらかというと悪役で少々イメージが良くありません。しかし、この「興亡三国志」では三好さんの考えでこれまでイメージの良くなかった曹操を中心にして据えています。

 曹操は単に武術に優れた英雄、偉大な政治家と言うだけでなく、詩を詠み孫子の著書をまとめるという文人としても超一流の人でした。

驥老伏櫪  驥(き:名馬)ハ老イテ櫪(れき:馬小屋)ニ伏スモ
志在千里  志ハ千里ニ在リ
烈士暮年  烈士ハ暮年ナルモ
壮心不已  壮心ハ已(や)マズ

 三好さんはこう書かれています。
「こういう詩文を書いた人物が仇役のような人生を過ごしたはずがない、と直感したのである。」
「このすばらしい詩を作った曹操を中心に、あの三国鼎立の時代は動いたに違いない。」

 私も本作品を読んで曹操のイメージを変えさせられました。やはり、三国志フリークとしては正史「三国志」を読まざるを得ないようです。

曹操 劉備 関羽 孫権 諸葛亮

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