マンチュリアン・リポート

浅田次郎 著
講談社


 清朝末期を題材にした三部作『蒼穹の昴』、『珍妃の井戸』、『中原の虹』から繋がる締めくくり(?)として、中原の最後に登場する快男児であり有力な軍閥であった張作霖が爆殺された事件を題材としたミステリーです。
 私は本書の存在は知らなかったのですが、掲示板で紹介されて読みました。(掲示板にいろいろと情報を書いて頂ける方には感謝です)
 本書の題名「マンチュリアン・リポート」というのは、日本語にすると「満州報告書」という意味ですが、最初はなんのことかわかりませんでした。張作霖爆殺事件は、当時「満州某重大事件」と呼ばれていて謎の多い事件とのことです。この事件以降、日本(関東軍)が本格的に中国(満州)へ踏み込んでゆくという歴史上重要な事件ですが、その発端の事件の真相を調べるために派遣された陸軍将校の報告書という意味です。
昭和3年6月4日未明。
張作霖を乗せた列車が日本の関東軍によって爆破された。
一国の事実上の元首を独断で暗殺する暴挙に昭和天皇は激怒し、誰よりも強く、「真実」を知りたいと願った―。
混沌の中国。
張り巡らされた罠。
計算と誤算。
伏せられた「真実」。

謀殺、密命。緊迫度最上級のミステリー。
清朝滅亡後、群雄が割拠する中国でほぼその実権を手に入れた張作霖は、すべてを手にする直前、日本の関東軍の謀略によって命を絶たれた。誰が何をどう仕組んだのか。稀代のストーリーテラー渾身の書き下ろし。
 本書の主人公は、治安維持法の改訂に対して「治安維持法改悪ニ關スル意見書」という怪文書を配布して禁固刑6月を受けている志津中尉です。その怪文書が天皇の目に止まり、直々に事件の真相を調査するように命令を受けます。そして、満州の地から天皇宛に送られたのがこの「満州報告書(マンチュリアン・リポート)」というわけです。
 本書には、もう一人主人公がいます。それは御料列車デューク(公爵)です。もともと西太后のために建造されたものですが、張作霖が北京から東北へ戻る際に使い爆殺事件で破壊された列車で、擬人化されて「鋼鉄の独白」を語っています。彼は人間とも会話ができ、時々生まれ故郷の英国コッズウェルズを思い出しながら誇りを持って中国で生きています。
 志津中尉の「満州報告書」とデュークの「鋼鉄の独白」が交互に書かれて事件の真相に迫っていくという構成です。最初はこの構成に戸惑いましたが、読んでいくうちに他の作品と同様に引き込まれていくのでした。

 で、結局事件の真相はどうなのか。
 それは、ここに書くわけにはいきませんね。(笑)
 読み終えてちょっと感じました。 もしかしたら本書の続編もあるかも・・・

 

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