元の皇帝フビライ −大草原の虹−

岡本好古 著
講談社


 フビライはユーラシア大陸からヨーロッパまで支配したモンゴル帝国を建てた英雄、チンギス・ハーン(テムジン)の孫で、中国に元王朝を建てた人です。日本にとっては、文永の役・弘安の役という元寇を起こした人物としてなじみの深い人物です。例により広辞苑からの引用をご紹介しましょう(いつもの手抜き)。
フビライ【忽必烈・忽比烈】
(Khubilai) 元の初代皇帝。世祖。モンゴル帝国第五代の皇帝。ジンギス汗の孫。金を滅ぼし、宋を併合し、都を大都(北京)に移し、一二七一年国号を元と定めた。安南・占城・ジャワまで併呑を企図。わが国にも二度来攻したが失敗。クビライ。(在位 1260〜1294)(1215〜1294)
 本書の最初に登場人物系図が載っています。私にしては珍しくこの系図を見ながら読みました。
(というのも、名前がおぼえられないのでした・・・)

 最近読んだ、この時代を背景とした作品としては『耶律楚材<(やりつそざい)>』や『海嘯<(かいしょう)>』などがあります。これら、いろいろな作家が同じ時代を描いた作品を読むのは主人公のイメージがいろいろと変わったりして興味深いことです。耶律楚材は、同じようなイメージでしたが、文天詳はじめ南宋の英雄たちに関してはもの足りませんでした。単に元に対して反抗しているだけのような描き方でした。「正気の歌」をフビライ側から見てどのように描くかということを期待していたのですが、ちょっとがっかりさせられました。
 また、読む前には元寇の時の日本側、執権北条時宗や日本の武士たちがどのように描かれているかということにも興味がありましたが、こちらはこんなものかという感じでした。
 最後の方にはベネチアの商人、ニコロ・ポーロとマッフィオ・ポーロの兄弟たち5人がフビライの滞在する上都に到着します。ニコロの息子マルコ・ポーロも同伴しており、この時21歳でした。このあたりはあまり知らなかったところなので、「東方見聞録」の書かれた経緯とかは興味深く読みました。

 しかし、全体的に本書ではフビライの人間性があまりに美化されているような印象を受けました。そのあたりがいまいち後味がよろしくないようで。(このへん、全く個人的な感想なのでご容赦ください)

 元の皇帝フビライ −大草原の虹−

戻る